2013年10月27日日曜日

除草と対策

【6月下旬】
  • セスバニア、クロタラリア、ソルゴーなどの緑肥作物をまいておくと、背丈が2m以上にもなり、雑草を抑えてくれる。茎や葉は砕いて枯らし、畑に入れると良質の有機物を提供してくれる。


【11月】
  • コムギ
    野菜を収穫した後(11月頃)、コムギを全面に多めにばらまく。冬に麦踏みをする程度で収穫でき、下にある冬の雑草を枯らせてくれる。

自家採種

種をとるときに重要なことは、いかに優れた母本を選ぶか
色や形、味がよい、収量が多い、病害虫に強いなど、優れた品種を選んで採取用にする。



【種子繁殖と栄養繁殖】
作物には、受粉によって種子繁殖するものと、受粉によらずに栄養繁殖するものがある。
種子繁殖で注意するべき点は、他家受粉するアブラナ科、ウリ科、ナス科などの作物。これらは同じ科のものが交雑しやすいので、離して植えたり、ハウス栽培するなどの工夫が必要となる。



【種子の保存】
種の寿命は3〜5年。(ただし、ネギは1年)
種はよく乾燥させ、品種ごとにラベルをつけてびんや缶に保存する。乾燥剤を中に入れ、フタはテープで密閉する。びんを冷蔵庫に保存すれば長期保存ができる。




わき芽かき

夏の家庭菜園では、畑に出るたびに、トマト、ピーマン、ナス、キュウリといった野菜のわき芽かきを行う。

わき芽は必ず小さいうちに摘むこと。大きくなってから積むと、樹へのダメージが大きい。清潔な手やハサミで行うのも重要なポイント。

混植(コンパニオンプランツ)

混植すると、自然に土が肥沃になり、病気や害虫を抑えることも可能になる。

混植のおすすめは、エダマメ。トマトやピーマンなど何でもOK。畝の方にエダマメを並べて植える。

害虫対策には、レタスやシュンギクなどのキク科野菜がおすすめ。キャベツやハクサイなどのアブラナ科野菜を害虫から守る。

病気対策にはネギ科類。ナスやキュウリの苗に添えて植えれば、連作障害を抑えてくれる。ネギを育てた畑は、病気の出にくい畑になる。

イネ科のソルゴーやエンバクは、緑肥作物としておすすめ。畑周りや畝周りに植えると、害虫よけの障壁になり、刈って草マルチに利用できる。


【効果のある組み合わせ】
<病害虫対策>
  • トマト(ナス科)+ニラ 
  • キュウリ(ウリ科)+ネギ
    ニラやネギは抗菌作用をもつとともに、根につく菌が抗生物質を産生し、野菜の土壌病原菌を抑える。独特な臭いで害虫もつきにくくなる。
  • ナス+コムギ
    ナスの畝間に、植え付けと同時にたっぷりコムギ(間隔は2,3cm)をまいてマルチする。マルチコムギまたはくずコムギ。天敵が住み、害虫を防いでくれる。空気や水も入りやすくなる。雑草対策にもなる。7月には枯れて肥料になってくれる。
  • キャベツ(アブラナ科)+サンチュ
    サンチュ、レタスなどのキク科の野菜はモンシロチョウやコナガ、ヨトウムシなどアブラナ科の野菜を好む害虫が嫌がる味や臭いを発する。ほとんどのアブラナ科の野菜に効果あり。
    キャベツ3株にサンチュ1株ほどの割合で植える。

<ブロック作物>
  • ナス+ソルゴー
    背丈の高い作物を植えることで、害虫が飛んでくるのをブロックしてくれる。そして、そこが天敵の住処になる。ソルゴーの他にも、エンバクなどの緑肥植物も良い。

<バンカープランツ>
バンカープランツとは、天敵(益虫)をためる植物のこと。
ポイントは、野菜とバンカープランツにつく害虫が異なること、そして天敵は両方につく害虫を食べてくれること。
  •  イチゴ+オオムギ
    オオムギにつくムギクビレアブラムシを好物とする天敵が集まり、イチゴにつくアブラムシも食べてくれる。

<生育促進効果>
  • ナス+パセリ
    ナスの日陰でパセリがよく育つ。

  • サトイモ+ショウガ
    サトイモの日陰でショウガがよく育つ。
  • トマト+ラッカセイ
    トマトは根が深く入り、ラッカセイは浅く横に張るので互いの生育を邪魔しない。むしろトマトの水分を控える効果と、ラッカセイの根粒菌が窒素を固定し養分を送ってくれる効果が期待できる。

ボカシ肥料

ボカシ肥料とは、米ぬかや油かすなどの有機物を微生物に発酵させたもの。

施してからの効き出しが早いので、元肥にも追肥にも使える。



【ボカシ肥料の作り方】
用意するもの
  • 油かす
  • 米ぬか
  • 水(ためた雨水や川の水がベスト)
  • 畑の土
米ぬか(2):油かす(10)の割合。
水は汲み置きしてカルキを飛ばしておく。
発酵菌として、畑の土を少量入れる。
ほかに、魚粉、草木灰などの有機肥料を混ぜても良い。

  1. 泥水を作る
    バケツの水に畑の土をスコップ半分くらい入れ、よくかき混ぜる。
  2. 泥水を加える
    トロ舟に油かすと米ぬかを広げ、よく混ぜる。そこに泥水の上澄みを加える。
    泥水の量は重量比で材料の3割程度。
  3. よく混ぜる
    水分が材料に均等になじむように、両手で材料をすり合わせるようによく混ぜる。
  4. 水分量をチェック
    かるく団子状になる程度に水分を調整する。
  5. バケツに詰める
    材料をバケツに詰め込む。嫌気発酵させるため、空気を押し出すように詰めること。
  6. 水ブタで密閉する
    密閉するための水ブタ用のビニール袋を置く。(水漏れしないように、できれば2重に)
    ビニール袋に水をたっぷり注ぐと、ぴったりと密閉できる水ブタになる。
    ビニール袋の口を結んで水ブタの完成。
  7. フタをして保管
    水ブタのから、雨水が入らないようにさらにフタをする。
  8. 夏は2週間、冬は2ヶ月で完成。
    水ブタをめくり、甘い香りがして、表面に白カビが生えていたらボカシ肥料の完成。白カビは混ぜ込んで使って良い。

輪作

同じ場所で何年間も同じ植物を栽培すると、害虫、病気、栄養不良など、土壌の問題につながるため、輪作をする必要がある。

標準的な方法は、4年周期で回転させる。

土を肥えた状態に保つためにも輪作は有効。1種類の作物を続けて栽培していると、特定の種類の養分を土から奪ってしまう。→作物を毎年変えれば、土にさまざまな栄養分を補充することができる。たとえば、エンドウマメやインゲンマメは、窒素を土に共有する。

輪作は土壌改良にも役立ち、根の浅い作物と深い作物をとりまぜて栽培すると大きな効果がある。

ジャガイモ、アブラナ科の植物、マメ類、根菜を4年周期で栽培するのが伝統的な輪作計画。

被覆用と土壌の構造改良用に使う緑肥のための場所を輪作計画にうまく組み入れると良い。


マルチ(被覆・カバー)

マルチとは、植物の養分となるもので地面を覆うこと。
地面の上にマルチを広げ、ミミズなどの土壌生物が土の中に運んでくれるのに任せる。
また、光を遮ることで雑草の繁殖も抑えることができる。

マルチは土の湿度を保つ。夏には干上がるのを防ぎ、冬には水浸しになるのを防ぐ。
日除けの役割を果たし、植物や土壌生物が熱から受けるダメージを減らす。

土の温度を一定に保つことで、秋になっても温かい状態を長くして栽培期間を伸ばす。

最も一般的なのは、有機物のマルチ。
たイヒ、ワラの多い完熟家畜糞、刈った芝、腐葉土などは遅効性の肥料用マルチとして利用できる。

木の切り屑は良いマルチになるが、半年から1年、積み上げて腐植化させてから使わないと、植物の成長に支障をきたすほどの量の窒素を消費してしまう。

 あら砂は、良好な水はけを必要とする植物に最適なマルチで、ナメクジやカタツムリを寄せ付けない。

春に粘土にまき床を作りたければ、冬の間、よく熟した堆肥か腐葉土でマルチを施し、残ったものを春に取り除く。

 土がかなり濡れている時は、マルチをしないこと。土の病気や腐敗の原因になる可能性がある。
また、厚すぎるマルチは土の通気を妨げる恐れがある。

道具・農機具

  • 汚れた道具は土の中に病原性物を蔓延させる。
  • 回転式耕運機をコンクリートの床の上に置きっぱなしで冬を越させてはいけない。板か古いパレットの上に乗せ、湿気や錆から守ること。
  •  

pHと石灰

  • 酸性度の矯正法として一般的なのは、土に粉石灰を施す方法。石灰には、団粒構造を形成する手助けをして粘土の構造を改善したり、土から窒素を奪う細菌の活動を阻止したりする働きもある。しかし、ミミズは石灰を好まないため、石灰を施してから土壌生物が繁殖するまでに時間がかかるという問題がある。
  • 消石灰は非常に溶けやすく即効性があるため、オーガニックガーデンには決して使ってはならない。
  • トマトやじゃがいもは過剰な石灰により被害を受けるため、栽培を予定している区画には石灰をまいてはいけない。逆にアブラナ科の植物は、石灰が施されたばかりの土を好む。
  • 酸性やアルカリ性に極度に傾いている土の中では、根がミネラルを抽出しにくくなる。また、土を健康に保っている土壌生物に害を与えたり、活動を妨げたりする。
  • 石灰をまいた場所に家畜糞を施すのは、数ヶ月待ってからにする。さもないと、石灰と家畜糞が反応を起こしてガス状のアンモニアが漏れ出し、窒素が無駄になってしまう。
  • 粉石灰は秋に地面にまっき、翌年の春に土を耕す。

粉末燐灰石

粉末燐灰岩の効果は緩慢で、一年中いつでも使用できる。植物に害を与えず、土に与える効き目は何年にも渡って続く。

栄養素について

植物は必要な炭素(C)を空気中の二酸化炭素から取り込む。
それ以外の必要な栄養素は全て土が供給源となる。

【多量元素】・・・植物にとって最も大切な栄養素。
窒素(N)葉や茎の成長には適度な量の窒素が不可欠。最も必要とされるのは、植物の新しい組織が発達しているとき。
エンドウ豆やインゲン豆などマメ科植物の根粒に住む窒素固定菌が土中に蓄えてくれる。
家畜糞には窒素がふんだんに含まれる。
窒素欠乏症の症状は通常、生気のない黄色い葉になる。堆肥と家畜糞を定期的に施して解決する。
リン(P)細胞分裂、植物の成熟、根の発達に不可欠。
リンの欠乏している土には、粉末燐灰岩を施す。
カリウム(K)花と果実を実らせ、植物の組織強化や吸水促進に大きな役割を果たす。
粘土はカリウムを豊富に含むが、欠乏症の疑いがあればコンフリーなど、カリウムの豊富な添加物を入れても良い。
カルシウムカルシウムの含有量はpHの値に影響する。
マグネシウム
イオウ

【微量元素】・・・植物が少量を必要とする栄養素。
  • マンガン
  • ホウ素
  • 亜鉛
  • モリブデン

刈った芝

芝は窒素の供給源。芝を堆肥に加えれば、よそから動物の糞を調達してくる必要が減る。
刈ってすぐに低温堆肥材料の山に加えるのは避けたほうが良い。
芝だけを2ヶ月ほどかけて腐らせてから、堆肥に加えるなりマルチとして使うなりしても、窒素は充分に含まれている。

刈ったばかりの芝は、決して粘土の表面に厚く敷き詰めないこと。分解の過程で土から窒素を奪ったり、どろどろになったうえに土の通気性を妨げたりする。


腐葉土

落ち葉には窒素がほとんど含まれていないため、分解が非常に遅い。そのため、堆肥の嵩を増すために大量の落ち葉を加えてはいけない。
まずは、落ち葉だけで腐らせて、よくこなれた腐葉土にするのが良い。
腐葉土は長い時間をかけて栄養分を放出するので、マルチとしても土壌改良材としても抜群の効果を発揮する。

葉が少量の場合には、集めて水で濡らしたものを黒いポリエチレンの袋に入れ、腐葉土として使用できるまで腐らせる。(葉に付着した菌類により腐植化が進められるため、酸素は必要ない。)

葉が大量の場合は、1.5m程の高さの金網で囲いを作り、そこに葉を入れ、水で濡らし、押さえつけ、さらに葉を入れ・・・を最上部まで繰り返す。あとは1年ほど放っておく。(何年間か熟成させてもよい。)

腐葉土を早く仕上げるためには、6ヶ月程経った時、全体量の25%の刈った芝を加える。すると3,4ヶ月後には腐葉土として使えるようになる。


緑肥(生きている堆肥)

緑肥は、小さく切って土に入れることを目的に栽培される、成長の速い作物のこと。
花をつける前に土の中に入れる。あるいは、切ったものをマルチにすれば、ミミズが土の中に運んでくれる。

緑肥はいくつかの点で土を改良する。
  •  裸の土に雑草がはびこるのを防ぐ。
  • 土壌生物を増やす。
  • 害虫や病気の蔓延を防ぐ。
  • 土に大量の有機物を提供する。

特に人気があるのは、エンドウマメやインゲンマメなどのマメ科の植物。マメ科植物には根粒に窒素を集める能力がある。

芝の中にも緑肥に使えるものが何種類かある。芝の根は勢い良く広がり、土の構造を改善してくれる。

緑肥や繊維質のマルチを彫り入れた土には窒素欠乏症が起こることがある。(分解するために細菌が爆発的に増殖し、自分たちの成長のために窒素を使い果たしてしまう。いずれ細菌が死ぬと窒素は土に還元されるが、一時的な窒素不足により均一な分解ができなくなる。)

耕運機をかけた後、できれば深く根を張るタイプの緑肥を植え、土の構造を回復させる。


【コンフリー】
コンフリーは、ミネラルに富んだ緑肥。繊維質が少なく、高タンパク質。最高のカリウム供給源であり、窒素やリンもかなりの量が含まれている。
茎と葉を切り取り、1,2日そのままにして萎えさせてから土の中に直接掘り入れる。
コンフリーはトマトや低木の果実の夏用マルチとしても理想的で、養分を補給し、害虫や病気を寄せつけない。


【シロツメグサ】
軽い土に施すのに最適で、粘土にはあまり効き目がない。


 【マメ科の植物】
エンドウマメ、インゲンマメ、シロツメグサ、アルファルファなど。
このような植物は根粒を持ち、空気中の窒素をそこで固定し、土に戻す。
マメ科の植物は成長のどの段階で土に入れても、有機物を供給し、土壌生物を改善してくれる。

深く根を張る種類のものとして有名なものには、アルファルファ、シロツメグサがある。
下層土から養分を吸収し、腐敗すると養分は表層土に戻される。


【芝】
雑草の抑制と土の構造を改良する。
多くの種類の芝は、根がよく張る性質を持っているので、根が腐ったあとは、土の中には有機物だけでなく、無数の細い通路も残され、通気をよくし、水はけを改善する。


【冬の緑肥】
カラスノエンドウは数少ない耐寒性マメ科植物の1種。
ファセリア、ベニバナツメクサも温暖な冬なら乗り切れる。


【マリーゴールド】
厳密には緑肥用作物ではないが、土壌の害虫や多年草の雑草が深刻な場合は植えると良い。
また、堆肥の量を増やすには最適な植物。



細菌

堆肥の中にいる細菌の種類は、環境により実に様々。
細菌はどんな有機物でも消化する酵素を製造する。
最も重要な細菌は好冷菌(〜15℃)、中温菌(15〜40℃)、好熱菌(40〜75℃)。

  • 庭に落ちている葉や茎などを土に直接掘り入れると、細菌が分解の際に土に不可欠な窒素を奪ってしまう。→収穫が減るこちになりかねない。
  • 一番上にある表層土は茶褐色でもろい。有機物に満たされ、無数の生き物がひしめいている。
  • 表層土の下の下層土には、有機物はほとんど含まないが水分の多くはこの部分に貯蔵され、重要なミネラルとともに植物の成長に役立つ時を待っている。
  • 他の種類よりも扱いやすい土はあっても、ある種類が他の種類よりも常に肥えているということはありえない。
  • 土をむき出しのままで置かない。土には充分なマルチを施すか、緑肥を植えるのが理想的。
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耕起

  • きちんと管理されたオーガニックガーデンなら、地面を掘り返すのは一番最初の一度だけ。そのあとは二度と鋤を手にする必要はない。(忍耐強さがあれば、最初に掘り返す必要もない。長期用マルチを地面に敷き詰めてコンディションを整える。)
  •  掘り返す目的は、土の通気と栄養状態を向上させ、この先二度と鋤を入れる必要のない状態にすること。
  •  どんな場合でも土を掘り返したり切り返したりするときは、土を元に戻す際にたっぷりと堆肥を加えるのが一般的。あるいは堆肥を地面に放置して、ミミズや他の土壌生物に地中に引きずり込んでもらう。種まきや苗の植えつけの前には、フォークで表面をさっとかき混ぜるだけでよい。
  •  手入れされていない土を掘り返すときは、表層土と下層土の両方を完全にほぐすダブル・ディギングが効果的。(ダブル・ディギングは、表層土と下層土を混ぜずに、耕しながらそれぞれに有機物を施す。)
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ミミズ

  • 家畜糞や堆肥を定期的に施されて肥えた土には、一鋤掘り返すと30匹ほどのミミズがいる。
  • ミミズはゴミを消化し、栄養分を植物が利用できる形態に転換して堆肥を作る。
  • ミミズが排泄した糞は腐植質に富み、きめが細かくほぐれている。土壌改良材として優れている。
  • ミミズの尿は肥料として強力な効果がある。
  • 一匹のミミズが一生の間に生み出せる土は、30トン!
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粘土

【粘土の基礎知識】
構造微小な粒子が互いに密着しているため、ほぐすことが必要。荒砂と、完熟の有機物を施す。
水はけ水がたまりやすく、通気が悪くなって植物や土壌生物に負担がかかる。しかし、栄養分の貯蔵状態は良好。乾くとセメントのようにカチカチになるので、夏に充分なマルチを施す。
温度低温。早生の作物には不向き。水分量が多いため、すぐに凍る。
栽培栽培して良いのは、乾燥した気候の時だけ。空気が不足している場所では分解が遅いので、充分に腐植化した有機物を施す。
pHわずかに酸性であることが多い。石灰を施すと粘土粒子が凝集して、大きなかたまりを作ることができる。



  •  粘土には充分に腐植化した有機物やあら砂を加えて改良することが必要だが、耕すのはくれぐれも乾燥している時にすること。濡れている時に掘ると、固さと粘りが余計に増してしまう。
  • 粘土は、土の状態が良い秋に掘り返すのが理想的。大量の腐葉土と、場合によってはあら砂を加え、霜が土の塊を小さく砕いてくれるのにまかせる。
  • 掘り返し作業が終わったら、緑肥を植えたり定期的にマルチ(有機物・堆肥)を施したりして改良を続けていく
  • 緑肥に向く種類のシロツメグサは、軽い土に施すのに最適だが、粘土にはあまり効き目がない
  • 木灰は粘土には決して使わない。木灰は塩分を含むため、粘土の構造を乱したり栄養状態に害を与えることがある。 
  • 粘りのある土には、完熟の有機質以外は決して使ってはいけない。改良していない粘土は空気と水の通りが悪く、土壌生物が繁殖しない。そのため、腐植化途中のまだ固い有機物を処理出来るだけの生物がいない可能性がある。
  • 改良されていない粘土の庭には、ノー・ディグ方式を使ってはいけない。冷たく湿った土の上に堆肥を重ねると、土はますます通気が悪くなり、水浸しになり腐ってしまう



【粘土に適した植物】
  • エンドウマメ
  • ソラマメ
  • ジャガイモ
  • パセリ
  • カボチャ
  • イチゴ
  • ラズベリー
  • ナシ
  • プラム
  • バラ
  • ヤナギ
  • ナラ類の植物
  • クログルミ
  • ミズキ
  • ニワトコ

堆肥作りの材料

  • 【コーヒーかす、お茶の葉】 多量の窒素が含まれ、リンとカリウムも比較的多量に含まれる。コーヒーかすは微酸性。
  • 【卵の殻】 窒素とリンを多量に含む。カリウムも豊富。
  • 【バナナの皮】 リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウを豊富に含む。
  • 【柑橘類の生ゴミ】 リンとカリウムに富む。
  • 【刈った芝】 窒素の主要供給源(よそから動物の糞を調達してくる必要も減る)。他の材料と交互に入れ、薄く重ねる。
  • 【髪の毛】 窒素が豊富。よく湿らせ、通気性のある材料と一緒に入れる。
  • 【ウール、羽毛】 窒素が豊富。
  • 【ちり取りや掃除機のゴミ】 堆肥材料に入れて良し。
  • 【コットンの衣類、革製品】 堆肥材料に入れて良し。
  • 【ペーパータオル、ナプキン、紙筒】 こまかくちぎって入れる。
  • 【新聞紙】 細かく裂いて水に浸し、よく混ぜること。 
  • 【家禽類、家畜類の糞】 水分の多い糞は分解を遅らせる。→必ずワラを混ぜた糞を使う。
  • 【ワラ】 使うときは濡らして、薄く広げる。(そうしないと堆肥から一時的に窒素を奪って、堆肥化の速度を落とす。) 動物の糞と組み合わせると効率のいい堆肥作りができる。
  • 【海藻】 家畜糞と比べてカリウム含有量が多い。窒素とリンは少なめ。ほとんどの微量元素を含むので、貴重な堆肥材料になる。
  • 【若いワラビ】 堆肥の嵩を増すのに最適。カリウムと窒素が豊富で、リンもかなりの量を含む。 



■ 堆肥化の触媒になるもの

  • 【イラクサの苗】 堆肥中の窒素と微量元素の含有量を増やし、微生物に養分を与える。
  • 【腐植質の豊富な庭土】 未処理の有機物を分解する微生物を持ち込むことができる。
  • 【刈った芝】 窒素が豊富。
  • 【家禽類の糞】 敷き藁を混ぜたものを薄く広げて入れる。
  • 【人の尿】 窒素が豊富で、動物の糞よりも有効性が長続きする。
  • 【コンフリーと海藻】 養分の貯蔵役。分解も速いので、堆肥化のプロセスを促進する。
  • 【トクサ】 堆肥化の進行を速める。根を除いて細かく切って入れるか、空洞の茎を自然にゆっくり腐らせることで、堆肥に通気性を与える。
触媒になるものは、 底にかなり近い方に入れる。一定の間隔をあけてさらに追加していく。
最近できたばかりの堆肥や、良質な表層土も入れても良い。



■ 浸出液(コンポスト・ティー)

コンフリー、イラクサ、トクサなどを、バケツに入れた水に2,3週間浸すして作る。
常備しておくと良い。



■ 堆肥に入れるとよい植物

  • 【ヒマワリ】 嵩が増え、通気性が良くなる。一緒に芝を入れるとバランスをとってくれる。(ヒマワリは多量の繊維質を含み、芝はタンパク質が豊富。)花が咲くと茎が太くなって刻みにくいので花が咲く前に収穫する。
  • 【マリーゴールド】 成長している間、特に線虫などの土壌害虫に対して駆除効果を発揮する(作物の近くで栽培すると良い)。酵素の働きで雑草の繁殖も抑えてくれる。堆肥に入れれば、貴重な材料となる。
  • 【コンフリー】 強靭な根が地下2mまで掘り進み、必須ミネラルを集める。堆肥に加えると、そのミネラルを他の植物が利用できるようになる。堆肥化の促進役。カリウムの大切な供給源。成長が早く、6週間ごとに葉を収穫できる。耐寒性の多年生植物なので長い間生きることができる。



堆肥に入れないほうが良いもの

  • 【犬、猫の排泄物】 非常に高温の堆肥材料の山でしか死なない病原菌がいる可能性があるため、余程の自信がない限りは使わないほうが良い。
  • 【肉、魚の残り物】
  • 【油脂】
  • 【骨】
  • 【剪定した棘のある植物】
  • 【石炭、コークスの灰】
  • 【胴枯れ病にかかったジャガイモの塊茎、トマト(茎は使用できる)】
  • 【使い捨ておむつ】
  • 【光沢紙使用の雑誌】



■ 【炭素と窒素の比率<炭素(繊維質):窒素(たんぱく質)>】

(比率が高いと堆肥化速度が下がる)
新しいおが屑500:1
古いおが屑200:1
コムギのワラ125:1
オートムギのワラ48:1
ワラビ48:1
若い雑草30:1
ニンジン27:1
ビートの葉の養分19:1
海草19:1
腐らせた家畜の糞14:1
トマトの葉12:1
キャベツの葉12:1
刈った芝12:1
良質な園芸用堆肥10:1
コンフリーの葉9.8:1
乾燥させた血液4:1
(比率が低いと堆肥化速度が上がる)

繊維質の分解が極端に遅い場合→比率の低い材料を加える。
材料の嵩の減るのが速すぎる場合→比率の高い材料を加える。



悪臭のする堆肥材料の山は、おそらく水分過剰で空気が欠乏している。撹拌して繊維質の材料を加える。
アンモニア臭がする堆肥は、窒素の豊富な材料が多すぎる。繊維質を加えて撹拌する。
甘い匂いの堆肥は、湿度は高いが温度が上がっていない。窒素を豊富に含む材料を加え、撹拌する。



堆肥

  • (土の中の)有機物は微生物の活動によって腐植化するが、地面の上や下で何か腐っていないかたまりを見つけた微生物は、それを分解するために土の養分一時的に奪ってしまう。
  • 堆肥にはさまざまな素材を混ぜるため、養分の種類が限られることなく、幅広い栄養素がバランスよく含まれている
  • 堆肥は養分を貯蔵している。微生物の活動により、その養分を必要に応じてゆっくり土中に放出していく
  • 堆肥材料に住む微生物は、物質を植物の栄養分に転換する酵素を作るために、炭素(C)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)を必要とする。→堆肥にはバラエティに富んだ材料を入れる。
  • 好気性細菌が活動できるように、堆肥には空気が必要。→ときどき材料をよくかき混ぜるか切り返すかして、空気を入れる。
  • 有機物を分解する生き物には、ダニ、ムカデ、ヤスデ、クモ、トビムシ、甲虫、アリ、ハエ、線虫、ミミズなどがいる。咀嚼したり噛み砕かれて小さなかけらに有機物を、細菌や菌類のような微生物が消化し、有機物の中に閉じ込められていた栄養分を解放する。
  •  堆肥は生きているので、土に施してからも、有益な微生物は栄養素の解放と転換を継続してくれる
  •  堆肥材料があまりに高温の状態に長く続きすぎると、欠かすことのできない栄養素が失われることがある。(例えば窒素はアンモニアガスとなって逃げてしまう。)→撹拌するなり、何らかの方法で空気を入れて温度を下げる。
  • 堆肥を使えば、粘性の土を軽くて通気の良い土にし、軽い土も海綿状にして吸水性を高めるなど、どちらの問題も改善することができる。
  •  堆肥は土が適切な水分量を保つ能力を改善する。水分不足の植物は日光を効率的に利用できず、光合成がきちんと行えなくなる。
  • 堆肥には、極度に酸性寄りの(pHが低い)土や、アルカリ性の高い(pHが高い)土を修正する働きがある
  • 堆肥には、植物の成長に必要な多量元素のなかでも特に重要な3元素である、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)と、微量元素が含まれる。
  • 堆肥は、栽培期間を通して、徐々に養分を放出していく。土の温度が低い時はゆっくり、温度が高くなると大量に放出する。
  • 堆肥の材料は植物質3:動物質1の割合にするのが、昔からの常識である。
  • 堆肥中に空気を取り入れるために、植物の茎か細い棒を積み上げた堆肥材料の中に間隔をおいて重ねていき、堆肥が徐々に熱を帯びてきたら取り出すと良い。
  • 市販の回転式のタンブラーなら一ヶ月程度で堆肥が完成する。(その後、堆肥を取り出して土を薄く被せて数ヶ月安定させると良い。雨水で養分が流れ出ないよう、完成した堆肥には必ず覆いをする。)
  • 高温の堆肥は、雑草の種や病気にかかった材料を死滅させることができるが、かなりの高温になるため、病気を抑える微生物まで死んでしまう
  • 低温で作った堆肥には、高温の堆肥よりも豊富な種類の生物が含まれる
  • 堆肥は、一般的な土壌肥料と土壌改良材として 、約2cmの完熟堆肥を毎年土に施す。
  • 堆肥を土に施しても、土壌微生物が働き出すまでの2週間ほどは、植物に栄養分を与えることはできない。
  • 堆肥を保存する場合は必ず地面に置き、6ヶ月以内に使用する。
  •  

    2013年10月26日土曜日

    トマト

     【基本情報】
    分類(科)ナス科。(ナス科は連作障害が出やすい。)
    株間60cmで1列または2列で植える。
    コンパニオンプランツニラ(土壌病害予防)
    近くNGプランツジャガイモ→トマトと共通した虫がつく。
    元肥ボカシ肥料100cc/株 完熟堆肥移植ゴテ1杯/株
    追肥ボカシ肥料40cc/株
    手入れわき芽をこまめに摘む。主枝一本仕立て。ミニトマトは、栽培後半は放任でよい。
    収穫赤く熟したものから収穫。開花から約45〜60日
    栽培時期3月中に種まき→ポットに移植→5月上旬に定植。


    トマト栽培の基本の整枝法は、一本仕立て。
    もともとトマトは高温乾燥地帯のもの。梅雨期に疫病や葉カビ病の発生が多くなるので、ここを乗りきれるかどうかで違ってくる。かまぼこ型の高畝にすることで、冷たい雨がさっと下に流れるようにして、水はけと通気性をよくすると良い。

    トマトでよくある失敗は肥料過多。茎ばかり太く生長する。茎はタバコくらいの太さでよい。

    葉の付け根からわき芽がどんどん出てくるが、こまめに摘み取り、主枝一本だけを伸ばしていく育て方。
    枝葉が混み合わず、手入れが楽で、収穫もしやすい。

    長めの支柱を立て、主枝をヒモで支柱に固定しながら育てていく。トマトが支柱の高さを超えたら先端を切って生長を止め、下の実を充実させる。

     トマトの実のお尻の方から黒っぽく腐ってしまうのは、カルシウム不足が原因。植え付けの前に有機石灰を施せば、尻腐れ果が出る心配はない。

    トマトは、雨が降ると急に水分を吸って実が膨れ、皮が簡単に裂けてしまう。(病気ではないので、おいしく食べられる)→予防は、土が加湿にならないよう、マルチングなどで対策する。マルチは、畝に対して横方向に並べることで、雨が通路側に流れ落ちるようにする。
    エダマメとの混植も、実割れ防止に有効。(エダマメは水分が大好きなので、土の水分を吸ってくれる) 晩生種を6月以降にまけば、トマトの実割れが防げ、10月にはおいしいエダマメにありつける。

    トマトは気温が30℃を超えると受粉能力が低下するので、株元を中心に刈った草やワラを敷いて、地温が上がるのを防ぐ。そして、古い葉をこまめに積んで風通しをよくすること。

    花の咲いたハーブの鉢植えなどを、トマトの株元に置いておくと、虫が受粉を手伝ってくれる。畑に花の咲く植物をゲリラ的に植えるのも良い。



    【育て方のポイント】
    1. 畑の準備
      畝は南北にかまぼこ型に作る。
      ポットに一花咲くくらいまで育てる。5月上旬、霜の心配がなくなったら、畑に移植。
    2. 植え付け
      ポットのまま、バケツの水の中に入れる。十分に水を吸わせる。
      ポットから外したら、斜めにして植える。→土に接した茎からも根が出るので、養分をよく吸ってくれるようなり、トマトの活力がアップ。
    3. 支柱を立てる
      1.8〜2mくらいの支柱を立てる。(土には30cmほど埋める)
      合掌仕立て(倒れにくいが風通しが悪い)か、垂直仕立て(風通しは良いが倒れやすい)で立てる。
      支柱への誘引は8の字にすることでクッションができ、茎を傷めない。
    4. てっぺんの芯が欠けていないことを確認し、こまめに芽かきをする。(一本仕立て)
    5. 除草とマルチ
      6月の終わり、土が乾かないようにマルチをする。ワラや雑草を株元に被せる。
    6. 病害虫対策。
      日当たり、風通し、排水をよくすることが大事。
      テントウムシダマシを駆除する。
      コンパニオンプランツとして、ニラを株元に植えると良い。ニラの根の上にトマトの苗をのせるよにして植えると良い。
    7. 収穫
      出荷する場合は、少し着色したら収穫することが多いようだが、完熟少し手前で収穫するほうが確実においしい。
    8. 後片付け
      茎を細かく砕いて、堆肥材料とする。



    【健康なトマトの様子】
    • 葉色が周囲の雑草よりも少し濃いくらいの緑色で、軽く上向きにカールしている。


    【肥料過多の症状】
    • 生育初期に肥料が効き過ぎると、トマトは「樹ボケ」といって、枝葉ばかりがよく茂り、花が咲いても落ちてしまい、実付きが悪くなる。→わき芽を摘ま ずに1,2本伸ばし、養分を分散させる方法で対処する。(花房のすぐ下の葉の付け根から出てくるわき芽を伸ばすとよい。このわき芽は主枝に負けないくらい の枝になり、どんどん実をつける。)


    【肥料不足の症状】
    • 養分が足りていないと、トマトは花を落として自分の身を守る。→少しずつ追肥する。
    • トマトの上部の葉が小さくて黄色っぽくなっていたら、肥料が足りていない証拠。→追肥を与えること。


    【トマトの支柱】
    トマトは背が高くなるので、長めの支柱(180〜210cm)を用意するとよく、太さも直径16mmか、それ以上のものがおすすめ。支柱は30cmくらいの深さまで土に挿せば安定する。
    支柱は、斜めに補強を入れ、横方向にも連結すれば強度が増して丈夫になる。
    トマトの生長とともに、主枝をヒモでくくりながら、上へ上へと誘引していく。





    【後作のおすすめ作物】
    ホウレンソウ。肥料分が残っているので、元肥のボカシは控えめに。
    コマツナ、シュンギクもおすすめ。

    2013年10月24日木曜日

    タンブラー

    堆肥作り用器具の代表は、堆肥用タンブラー。
    タンブラーは樽型のブラスチック容器で、回転軸に取り付けられているから、容器を回転させて手軽に堆肥を撹拌することができる。

    毎日撹拌を行えば、温度はますます上がり、通気も良くなり、1ヶ月ほどで堆肥が完成する。

    完成した堆肥は薄く土を被せるなど覆いをして、一ヶ月ほど熟させると良い。




    2013年10月23日水曜日

    田んぼの跡地で有機菜園を始める。

    ずっと田んぼだった場所があります。
    ここ数年は放置されていました。
    勿体無いので、有機菜園をすることにしました。

    田んぼの跡地ということで土の性質は粘土で痩せこけています。

    これから一気に勉強し、理論と実践によって最高の菜園を作っていきます。

    最終的にはより自然農に近い形を目指していきます。